倹約独身ひとり暮らし中年男子の備忘録

小さく豊かに暮らしたいひとり暮らしおじさんの生活備忘録

「答えより大切なこと」について

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雑誌「男の隠れ家」2023年4月号の特集は『禅』

 

                  

その中で、妙心寺退蔵院副住職 松山大耕さんが書かれたページ「ググることになれた大人へ 答えより大切なこと」に目が留まった。

修行僧時代の禅問答について。各修行僧たちは老師から「公案」と呼ばれる課題を与えられ、日々の修行中(多い時は1日に4、5回も)鐘の音が鳴れば本堂に集まり、ひとりずつ老師と謁見して「公案」に対する自分なりの答えを伝える、これが禅問答。しかしこの「公案」、答えが容易に見つかるようなものではなく、例えば松山氏はあるひとつの「公案」をクリアするのに7カ月も要したのだとか。ヒントも何もなく、もはやどうしていいか分からないまま答えとも思えない答えを伝えた時「それだ、それも禅なんだ」と老師がおっしゃったとのこと。しかし、松山氏がその本当の意味について気づいたのは修行を終えて2、3年経った後だったそう。

松山氏は言います。

「ヒントや答えをもらっていたら何も残りません。考えて考えて、正解だと言われてもなお考える。その過程を経て、自分の芯のところに落ちます。答えだけを知っても意味がありません。(中略)効率を求めるのも分かります。けれどそれで得た”情報”は腹に落ちることはない。ましてや、人は何のために生きるのか、幸せとは何なのか、そうした人生の本質はどこで調べるものでもなく、自身で考えていくしかありません。考えて考えて腹に落ちたことは決して忘れません」

昨日片づけの記事の中で「人は誰かに教えられたことより自ら気づいたことに価値を見出す」という事を書いたので、個人的にタイムリーに感じて特に目に留まりました。

私たちは修行僧ではないので、考えることにそこまでストイックにならなくても、すでに他の誰かが見つけた答えやヒントを自分の生き方の参考にしてもいいと思う。しかしそうは言っても現代は情報が多すぎる。「幸福力を高める」とか「生き方上手になる」とか「人生が輝く習慣」とか「これからは私基準で」とか「捨てることから始める幸せ」とか、そんな雑誌の特集やWeb記事で世の中溢れている。みんな手っ取り早く簡単に答えに辿り着きたいから「〇〇するためのたった一つの方法」みたいなのにつられてしまうのかもしれないけど、そこにはあなたが求める「真に価値ある答え」はないんだよという事。

私は独身。幸い他の家族に煩わされることもなく、ひとりで考える時間はいくらでもある。これからの生き方、自分にとっての幸せとは。そんな簡単には答えが出ない問いを、自分の中で禅問答のように繰り返す。